〈ケトアシドーシスとは〉

アルコール性ケトアシドーシスなどもありますが、主に糖尿病性ケトアシドーシスについて紹介しています。

一型糖尿病の人がインスリンを止めてはいけない理由についても解説しています。

本記事で得られること

1.ケトアシドーシスとは何かわかる

2.ケトアシドーシスの症状がわかる

3.糖尿病性ケトアシドーシスの仕組みがわかる

4.ケトアシドーシスになった時の対処がわかる

5.ケトアシドーシスの予防法がわかる

もくじ

1.ケトアシドーシスとは何か？

2.ケトアシドーシスの症状

3.ケトアシドーシスが起こる仕組みは？

4.ケトアシドーシスになってしまった時には

5.糖尿病性ケトアシドーシスの予防

1.ケトアシドーシスとは何か？

糖尿病性ケトアシドーシスとは、糖尿病の急性合併症の一つです。

ほとんどが1型糖尿病で起こり、
症状が出た後も治療を行わなければ昏睡に陥り、死に至ります。

とても危険な状態です。

2.ケトアシドーシスの症状

ケトアシドーシス発作を起こすと以下のような症状が現れます。

・体に力が入らない
・呼吸や脈拍が異常に速くなる
・嘔吐、腹痛
・意識障害(昏睡)
・脱水症状
・激しい口渇
・多飲、多尿
・体重減少
・全身倦怠感
・呼気にアセトン臭(フルーツ臭)(＊良い臭いではない)

実は、糖尿病に気づくキッカケとして「ケトアシドーシスだった」という例は多いようで、

僕が初めて入院した時は、ケトアシドーシスの状態でして、まさしく以上の症状が現れていました。

入院した後に調べたら、インスリンがほとんど分泌されていない状態で、１型糖尿病と診断されました。

最後の「呼気にフルーツ臭がする」というのはかなり特徴的だと言えます。

口臭なので自分では気づかないこともありますが。

3.ケトアシドーシスが起こる仕組みは？

ケトアシドーシスはインスリンが足りていない時に発生します。
ここではインスリン不足からケトアシドーシス発生までの流れを説明します。

インスリンが足りない、もしくはインスリンが正常に働いていない時は血中のブドウ糖をエネルギー源として使えなくなります(→高血糖状態)。

そのため、代わりに脂肪を分解しケトン体を作り、細胞にエネルギーを供給します。

しかし、一方でケトン体が血中に増えすぎるとケトーシス状態となり、体に不調をきたします(吐き気、嘔吐などの消化器症状が現れる)。

さらに進行して血液が酸性に傾いていくとケトアシドーシス状態になり、2のような様々な症状が現れます。

したがって、インスリン分泌がされていない一型糖尿病の人はケトアシドーシスになる可能性がかなり高くなってしまうので、インスリン注射を止めてはいけないと指導されるのです。

ちなみに正常な血液はわずかに塩基性で、pHは7.35〜7.45です。

この範囲外になると体に不調をきたすのです。

気づいた方もいるかもしれませんが、
ダイエットなどで”脂肪燃焼”をする際にはケトン体が血中に増えます。

ケトジェニックダイエットはこのことを利用しています。

ただし(糖尿病でない方であっても)絶食や極端なダイエットなど、身体に対する負担が大きいと感じる場合は危険です。

4.ケトアシドーシスになってしまった時には

命の危険に関わる合併症なので、速攻で入院して、輸液とインスリン注射による対処が必要になります。

とりあえず内分泌内科や糖尿病内科、救急科を受診するとケトアシドーシスだった場合、治療までが早いです。

治療内容を少し具体的に説明します。

グルコース点滴、もしくは食事でブドウ糖を血中に増やします。
エネルギー源を脂肪からブドウ糖にし、ケトン体の増加を止め、酸性だった血液を正常範囲に戻すためです。

点滴は脱水によって失われた水分やカリウムなどを補給する役割も担っています。

さらに、高血糖の場合はインスリン注射で血糖値を下げていきます。

5.糖尿病性ケトアシドーシスの予防

ケトアシドーシスにならないためにはどうしたら良いでしょうか？
それは……

インスリン注射を辞めないこと！

1型糖尿病の人はこれに限ります。
インスリン注射を辞めた途端、ケトアシドーシスになるのはほぼ必須です。

特に基礎インスリンを忘れずに。

食事ごとの追加インスリンは、食事というキッカケがあるので忘れないかもしれませんが、
基礎インスリンも結構大事です。

基礎インスリンを打たないと、何もしていないのに徐々に血糖値が上昇するということが起こるからです。

そして気づかないまま高血糖になり、ケトアシドーシスに発展する恐れがあります。

ケトアシドーシスは１型糖尿病の人がかかりやすいと書きましたが、

2型糖尿病の人が起こりうる糖尿病性ケトアシドーシスとして、
糖質が含まれるペットボトル飲料を多飲することが挙げられます。
(ペットボトル症候群)

したがって2型の人は糖質に注意する必要があるでしょう。
ex.)「水分補給、塩分補給のため」を口実にスポーツドリンクを飲み過ぎるなど

まとめ

ポイントは名前から連想して覚えるのがいいと思います。

名前の由来は
ケトン体と酸性(アシッドacid)です。

ケト アシド ーシス です。

3で伝えた、
インスリン足りない
↓
エネルギー足りない
↓
ケトン体つくる
↓
血液が酸性になる

この部分が由来になっているのですね。

またインスリン注射を止めることの危険はここにあることも分かりました。

医者からはとりあえず「インスリンを止ないでください」と言われていた人も、

これでその理由が分かったのではないでしょうか。

ゼロインスリン生活の難しさはここにあると思うので、対処法を考える必要がありそうです。

余談ですが、

3で書いた通り、血液のpHの正常範囲は7.35〜7.45で、わずか0.1の差でした。

・人間の体のなんと脆いことか
・人間の体のなんと精巧なことか

ケトアシドーシスについて調べている中でこの2点に特に驚き、感動しました(´-ω-`)

人間凄い！

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